大林組 秋田県北部洋上風力発電事業 環境アセス「準備書」説明会(能代市)その3 事業者説明③環境アセス
前回からの続きです。
今回は、環境アセスメントの内容説明です。
6. 環境影響評価
7. 環境影響評価結果のまとめ
環境アセスメント内容説明
調査会社 イー・アンド・イー ソリューションズ M氏
それでは環境影響評価についてご説明いたします。26ページをお願いいたします。
6. 環境影響評価
■環境影響評価項目
環境影響評価の項目はこちらの表の通りです。
上から騒音、超低周波音、水の濁り、風車の影、 水中騒音、コウモリ類、鳥類、魚類等、海藻草類、景観、産業廃棄物を選定しています。
これらについては、「方法書」段階において、県および国の審査を受け、評価項目、調査方法、調査地点、調査時季等を決定していますが、工事中の騒音およびコウモリ類については「方法書」から追加している項目となります。
これから、これら項目ごとに説明いたします。
なお、時間が限られておりますため、皆様の関心が高く内容がわかりにくいと思われます 騒音、超低周波音 を中心に説明することといたします。
まず、騒音、超低周波音について説明いたします。28ページをご覧ください。
■騒音・超低周波音とは
騒音と超低周波音は共に空気中を伝わる音であり、その音の高さによって区分されます。
音の高さは周波数が指標となり、単位はHzと書いてヘルツと読み数字が大きくなるほど高い音を示します。
騒音は「人間の耳に聞こえる20ヘルツから2万ヘルツの周波数帯の音」と定義されています。
一方、超低周波音は「低すぎて人間の耳に聞こえない20ヘルツ以下の音」と定義されています。
次に29ページをお願いいたします。
■騒音の目安 (A特性音圧レベル)
次に音の大きさですが、音圧レベルが指標となり、単位はdBと書いてデシベルと読み、数字が大きくなるほど大きい音を示します。
騒音はA特性音補正を行った音圧レベルであり一般に騒音レベルと呼ばれます。
この図は騒音の目安ですが、夜間の山間の住宅地ですと数字の小さい30デシベル、昼間の幹線道路周辺ですと数字の大きい70デシベルとなっています。
あちらで、現在の会場内の騒音と超低周波音を測定しております。
私が話している時と話していない時とで変動がありますが、騒音についてはだいたい40デシベル台から60デシベル台ということで、図書館の館内からファミリーレストランの店内あたりの音の大きさということになります。
次に30ページをお願いいたします。
■超低周波音の目安 (G特性音圧レベル)
次に超低周波音ですが、G特性音圧レベルが指標となり、単位は騒音と同じでデシベルとなります。
超低周波音は特殊なものと思われている方がいらっしゃいますが、単に低い音であり、日常生活の中に当たり前に存在しています。
あちらに測定している、会場内の超低周波音は70デシベル程度となっています。
こちらの図は、環境省が色々な場所で超低周波音を実測した値を示したものです。
ここ(説明会場内)は一般建物内に含まれていると思いますが、70デシベル程度ということで、平均よりも少し小さいレベルということになります。
また、例えば走行している自動車の中ですと、家の中にいるより、はるかに超低周波音が大きい状態となります。
次に31ページをお願いいたします。
■風車からの超低周波音による影響
風車騒音に関する検討会が、環境省主催で平成25年から28年まで開催されました。
国内外の最新の知見や、全国29カ所における風力発電所周辺の実測データ等に基づき、10名以上の専門家による検討が行われており、環境省のホームページでそれらの資料や議事録も公開されています。
このグラフはその中の資料の一つです。
横軸が周波数、音の高さです。
赤い破線が20ヘルツでこれよりも左側が超低周波音、右側が騒音となります。
また縦軸が周波数ごとの音圧レベル、音の大きさとなります。
青い線は音に対する人間の知覚閾値であり、これよりも下、黄色い領域では人間はその音を聞いたり、圧迫感などを感じることができません。
ここに環境省が実測した全国29の風力発電施設周辺164地点における風車音のデータを重ねます。
黒い線が斜めに複数走っていますが、これが全国29カ所の風車音の実測データです。
見ていただくとわかりますが、赤い線よりも左側、超低周波音の帯域では風車音はすべて黄色の領域、人間の知覚閾値以下となっています。
このことから、検討会では
「風車騒音は超低周波音の問題ではなく、騒音として議論すべきである」としています。
次に32ページをお願いいたします。
こちらも検討会資料の抜粋です。
風車騒音だけでなく、自動車や鉄道の中、山中、海辺、沿道、沿線、工場内、工事騒音なども実測し周波数特性を比較しています。
その結果として、「風車から発生する音は低周波領域が特に大きいわけではない」としています。
赤で囲った範囲が超低周波音の帯域である20ヘルツ以下となります。
自動車、鉄道、飛行機などの中では60から95ヘルツ程度ですが、風車を含む含めたその他の超低周波音はおおむね70デシベル以下となっています。
次に33ページお願いいたします。
こちらも検討会資料の引用です。
まず、上の四角に関しまして、「風車騒音は超低周波音の問題ではなく、騒音として議論すべき」という話がありましたが、風車騒音で問題となりうるのが、点(▪)で示しているこの二つとしています。
▪一つ目は振幅変調音。
これはブレードの回転に伴い発生する、周期的に変動する風切音です。
▪二つ目は純音性成分。
風車内の機体から発生する、特定の周波数が卓越した機械音です。
これらについては、まだ予測指向や評価基準が確立されていません。
また、その下の四角については、風車からの超低周波音と健康影響についてです。
専門家の審査を経て学会誌で掲載されたなど、信頼できる国内外の論文などを収集した結果、「風車からの超低周波音と健康影響について、あきらかな関連を示す原因は確認できなかった」と検討会で結論付けています。
なお、風車からの超低周波音については、検討会により影響はほとんどないことが示されていますが、本アセスでは、騒音および超低周波音について調査・予測・評価を実施しています。
次に34ページをお願いいたします。
■現地調査
こちらは、騒音および超低周波音の現地調査の地点です。
N1 能代市黒岡地区
N3 男鹿市美野地区
N4 男鹿市若美地区
住居や福祉施設などの周辺で道路、工場等の特定の音源から離れた地点4点選定しています。
調査時期は秋と夏に三日間ずつデータを取得しています。
次に35ページをお願いします。
■予測・評価 (騒音;工事中)
こちらは、モノパイル打設工事中における騒音の予測結果です。
これらの地点は騒音の環境基準の累計指定がされていないため、参考として住居系地域の環境基準と比較しています。
▪沖側の2列目については環境保全措置なしでも環境基準を下回る
▪岸側の1列目については必要に応じて環境保全措置を行うことで環境基準を下回る
という予測結果になりました。
次に36ページをお願いいたします。
こちらは、必要に応じて環境保全措置を行うこととした場合の、工事中の騒音予測結果の範囲を示しています。
赤の範囲が、予測結果の範囲であり、昼間の街の住宅地や昼間の霊園などのレベルとなります。
次に37ページをお願いいたします。
■予測・評価 (騒音;稼働中)
次に、すべての風車が稼働した場合の騒音の予測結果です。
風車予測指針と比較しています。
将来の騒音レベルは現況の騒音レベルから0から1デシベルの増加であり、すべての地点で指針値を下回るという予測結果となりました。
次に38ページをお願いいたします。
こちらはすべての風車が稼働した場合の騒音の予測結果の範囲を示しています。
赤の範囲が予測結果の範囲であり、昼間の山間の住宅地や夜間の街の住宅地などのレベルとなります。
次に39ページをお願いいたします。
■予測・評価 (超低周波音;稼働中)
次に、すべての風車が稼働した場合の超低周波音の予測結果です。
将来のG特性音圧レベルはすべて感覚閾値を下回るという結果になりました。
次に40ページをお願いいたします。
こちらはすべての風車が稼働した場合の超低周波音の閾値結果を示しています。
赤の範囲が予測結果の範囲であり、住宅系地域、住宅内、一般建物内などの平均的なレベルとなります。
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☆環境影響評価の騒音・超低周波音についての説明はここまでです。
次回、水の濁り以下の項目が続きます。